1.ソーシャルリスニングとは
SNSを活用し、さらにビジネスを拡大させていくために「ソーシャルリスニング」という方法が注目され始めています。
「ソーシャルリスニング」とは、ソーシャルメディア上のユーザーボイス(ユーザーの声、意見)を収集・解析し、自社の商品・サービスの改善やプロモーションに役立てていく分析手法のことで、従来のアンケート調査などとは異なり、ユーザー自身が自発的に発信したボイスをもとに分析していく手法です。
この記事では、
・そんなソーシャルリスニングとは何か?
・どのようなメリットがあるか?
・どのようにすればできるか?
ということについて解説していきます。
「ユーザーのニーズにあった商品・サービスをつくっていきたい」
「予算をかけずにユーザーボイスを収集したい」
という企業の方や個人でビジネスをやっている方におすすめの内容です。
2.ソーシャルリスニングの種類
ソーシャルリスニングは、主にソーシャルメディア上に投稿された画像やテキストなどのデータを収集し、分析をする手法のことです。
自ら想定されるテキストで検索・解析する方法から、ツールを活用して膨大なデータから解析をする方法まで様々ありますが、“リスニング”という言葉の通り、ソーシャルメディア上の顧客の声に耳を傾けることを指します。
定性的に、ひとりひとりの顧客の声を詳細に知りたい場合は目視でも実現できますし、
定量的に、より多くのデータから精緻な情報を得たい場合には、ツールが向いているでしょう。
ツイッターやインスタグラム、Facebookなどソーシャルメディアによって、テキストと画像のどちらがメインかも変わってきますので、
目的に応じて分析したいデータと手段を選択する必要があります。
3.ソーシャルリスニングのメリット
ソーシャルリスニングが注目され、多くのツールが開発されている背景には、ソーシャルメディア上での商品・サービスに関する発信が増えていることにあります。
今までも、ユーザーボイスを集める代表的な手法としてアンケート調査がありました。
アンケート調査は、特定の属性や価値観のユーザーに対して、商品・サービスの提供側が確かめたい仮説を検証するための手法として非常に便利です。
一方で、商品・サービスを提供している視点での限られた仮説とそこに対するアンサーしか得られないという特長がありました。
ピンポイントで欲しいデータ数を得るためには有効な手段ですが、その回答の奥に隠れたユーザーの本音を導き出したり、ユーザー視点での気づきを得るためには大変な工夫が必要です。
そのようなアンケート調査と比較すると、ソーシャルリスニングは、ユーザーが何者にも拘束されず自由に発信した内容に焦点を当てるため、よりユーザーの本音やユーザー視点での気づきに関する情報を得やすい点が大きなメリットです。
また、すでにユーザーがソーシャルメディア上に発信している情報のため、その情報にリーチさえできれば、コストをかけてユーザーから情報を引き出す必要がないというメリットもあります。
4.ソーシャルリスニングのやり方
では、ソーシャルリスニングによるリサーチをどのように実行していけば良いのでしょうか?
この章では、ソーシャルリスニングをご自身の商品・サービスの改善や拡散に役立てるために必要な手順と具体的な方法をご紹介します。
リサーチの目的を決定する
まず最初に必要なのは、あらゆる調査の基本と同じく、リサーチの目的を決定することです。
ソーシャルリスニングのアプローチは、すでに手の届く場所にある情報があるため、つい、分析から手を付けたくなってしまうというケースが多々あります。
しかし、やみくもに様々なユーザーボイスを目にすると、その内容に振り回され、結果として本来改善できたはずの重要なポイントを見逃したり、そのチャンスを逃してしまうことにもつながります。
そのため、なんのためにリサーチをするのかという点を、簡単でも良いので考えておきましょう。
「〇〇なのでは?」という仮説の状態でも問題ありません。
そもそもユーザーボイスに頼りたいと考えられた背景には、必ず自分自身の目標や、企業としての目標に対して何らかの課題意識を抱いている可能性が高いです。
その課題意識を言語化しておくことが最初のステップとして非常に重要です。
目的を達成するための手段を検討する
リサーチの目的が定まったら、次に目的を達成するための手段を検討しましょう。
「ソーシャルリスニングじゃないの?」と思われたかと思いますが、そもそもソーシャルリスニングが目的を達成するためのベストな手段とは限りません。
ソーシャルメディア上の投稿を分析する以外にも、世の中には様々なオープンデータが無料で手に入るサイトや、検索エンジンでの検索ボリュームの測定ができるツール、はたまた安価にアンケート調査ができるサービスも存在しています。
目的を達成するために、もっとも早く、コストパフォーマンスが高く、正確な情報が手に入る適切な手段を選択するようにしましょう。
ソーシャルリスニングが向いているのは、ユーザー視点での気づきや、ユーザーによって可視化されたユーザー自身のライフスタイルや価値観などを把握し、自社のマーケティングに活かせる芽がある場合です。
例えば、ユーザーがその商品・サービス名に関して述べている場合、すでに利用しているユーザーによる評価・口コミであり、ユーザーが発信したいと思える内容であるという前提があります。
しかし、人に見せたくない・知られたくないカテゴリの商品・サービスの場合、そもそもユーザーからソーシャルメディア上に発信がなされず、十分なデータが確保できないケースがあります。
目的や仮説にもとづいて、必要となるデータ内容とその数は変わります。
そのデータがそもそもソーシャルメディア上に一定数存在するものなのか、存在している場合にもその内容は脚色などがされずに、そのまま信じて良い内容なのかという観点での検証は必須と言えるでしょう。
インスタグラムのソーシャルリスニング実践方法
上記の2つのステップを通して、
やはりソーシャルリスニングを実践すべきと判断した場合に、インスタグラムでどのように実践していくと良いかという具体的な方法を紹介していきます。
●商品・サービス名のハッシュタグで検索する
インスタグラム上の投稿から
自社の商品・サービスに関するユーザーボイスを集めたい場合、
最もシンプルな方法がハッシュタグ検索の活用でしょう。
特に、下記ポイントでユーザーの投稿内容をチェックし、
提供側視点での商品・サービスの販売戦略と照らし合わせてみると、
ユーザーが商品・サービスをなぜ利用していて、どんなところを魅力と感じており、
それは狙い通り達成されているのかという観点での検証ができます。
・どんなユーザーが(プロフィール情報・どんな内容を多く投稿しているか)
・いつどこで(写真や動画を撮影しているシーン)
・どんな風に利用して(何をしたくて購買したかの記述・何用に利用しているかの記述)
・どこを気に入っているか(商品サービスのどの部分を撮影しているか・お気に入りの記述)
・反対にどこを足りないと考えているか
●ソーシャルリスニングツールを活用する
もう一つの方法として、ソーシャルリスニングを目的として開発されたツールを活用するという手があります。
無料のものから有料のものまで、用途にあわせて様々なツールがありますが、ここでは無料かつインスタグラムで利用できるソーシャルリスニングツールを紹介します。
SNSと連動したプレスリリース機能ですが、無料の会員登録によって、インスタグラム上でのトレンドリサーチやハッシュタグ検索を利用することができます。
具体的には、特定のキーワードがインスタグラム内でどれくらい話題になっていたか調べることができる機能や、特定のキーワードと関連するキーワードを調べられる機能があります。
そのため、インスタグラム上での大衆の声としてのトレンド調査、集客に効果的なハッシュタグの発見までこのツール一つで実践することができます。
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インスタグラムだけでなく、TwitterやFacebookなど複数のソーシャルメディア上の、特定のテーマ・キーワードに関する投稿を一覧化してモニタリングできるツールです。
無料の会員登録によって利用することができます。
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■Social Mention Search(ソーシャルメンションサーチ)
特定のキーワードが含まれる投稿を一覧化してモニタリングできるツールです。
会員登録なども必要なく、サイトにアクセスしたらそのまま利用できます。
5.ソーシャルリスニングまとめ
ソーシャルリスニングは、ご自身の商品・サービスやプロモーションをさらに改善していくために非常に有効な手段の一つです。
無料で活用できるツールも紹介してきましたが、予算をかけずに実践する方法も多くありますので、ぜひご自身の目的に対してベストな手段を実践してみてください。