1.この記事について
インスタグラムの広告運用において、広告バナーは集客効率を左右する、重要な要素のひとつとなります。
この記事では、インスタグラムの広告バナーを制作する際に、前提となるFacebookの入稿規定、効率的な集客をするために企画段階で抑えておきたいポイントから、デザイナー未経験社者でもバナー制作をすることができるツールまで解説していきます。
インスタグラムでの広告掲載を検討しているが、広告バナーの制作コストやリソースがネックになって踏み込めていないという方にはぜひお読みいただきたい記事です。
2.インスタグラム広告バナーの入稿規定
インスタグラム広告には、大きく分けて2種類の広告掲載箇所があり、それぞれの掲載箇所によって、利用可能なバナーサイズや画像解像度などが異なります。
▼タイムライン(フィード広告)
<静止画広告>
タイムラインや発見タブに表示される”静止画”広告です。
正方形、横型、縦型と3タイプのサイズがありますが、いずれも以下規定は共通しています。
ファイルタイプ:jpg、png
最大ファイルサイズ:30MB
画像の最大解像度:1936×1946ピクセル
説明文の最大文字数:2,200文字
説明文の最大ハッシュタグ数:20
各サイズによって異なる規定は以下の通りです。
(1)正方形
・画像の最小解像度:600×600ピクセル
・画像のアスペクト比:1:1
(2)横型
・画像の最小解像度:600×315ピクセル
・画像のアスペクト比:1.91:1
(3)縦型
・画像の最小解像度:600×750ピクセル
・画像のアスペクト比:4:5
<動画広告>
タイムラインや発見タブに表示される”動画”広告です。
正方形、横型、縦型と3タイプのサイズがありますが、いずれも以下規定は共通して
動画の長さ(尺):~60秒
サポートする動画コーデック:H.264、V8 ※コーデックとはファイル圧縮・展開の形式。動画と音声それぞれに設定が必要。
サポートする音声コーデック:AAC、Vorbis
最大サイズ:4GB
フレームレート:最大30fps
説明文の最大文字数:2,200文字
説明文の最大ハッシュタグ数:20
各サイズによって異なる規定は以下の通りです。
(1)正方形
・画像の最小解像度:600×600ピクセル
・画像のアスペクト比:1:1
(2)横型
・画像の最小解像度:600×315ピクセル
・画像のアスペクト比:1.91:1
(3)縦型
・画像の最小解像度:600×750ピクセル
・画像のアスペクト比:4:5
<カルーセル広告>
タイムラインや発見タブに表示される”複数の静止画”広告です。
通常の投稿と同様に、最大10枚までの画像を1つの広告にセットすることができます。
カード点数:2~10枚
画像アスペクト比:1:1
最小解像度:600×600ピクセル
ファイルタイプ:jpg、png
最大サイズ:画像1枚につき30MB
説明文の最大文字数:2200文字
説明文の最大ハッシュタグ数:30
▼ストーリーズ
ストーリーズに表示される広告です。
動画・静止画から選ぶことができ、以下規定はいずれの場合も共通しています。
アスペクト比:1.91~4:5
推奨解像度:1080×1920
最小解像度:600×1067
動画と静止画で異なる規定は以下の通りです。
・画像
ファイルタイプ:jpg、png
最大サイズ:30MB
複数枚投稿した場合の画像1枚の表示時間:3秒
・動画
ファイルタイプ:mp4、mov、gif
サポートする動画コーデック:h.264、VP8
サポートする音声コーデック:AAC、Vorbis
最大サイズ:30MB
最大表示時間:最大15秒
広告掲載したい場所をある程度しぼると、制作すべきバナー本数を減らすことができ、制作コスト・リソースを抑えるメリットがあります。
一方で、どの掲載箇所がもっとも効率が良いかという検証ができなくなってしまうデメリットもありますので、状況に応じて判断するようにしましょう。
なるべく制作コスト・リソースを抑えたい場合は、「静止画 横長(アスペクト比4:5)」「静止画 縦長(アスペクト比1.91:1)」を制作しておくことで、広告効率に差のでやすいフィード・ストーリーズ両方の検証が可能となります。
また、動画は一般的に制作コストや専門知識が必要となることから、静止画であたる訴求を見つけた上で制作されることをおすすめします。
また、どの広告タイプを選ぶ場合も、広告審査に抵触する箇所は避けた表現は意識するようにしましょう。
▶︎広告審査で押さえておきたいポイントはこちらをご参照ください
3.インスタグラム広告バナーの企画方法
広告バナーが掲載される箇所・必要なバナーサイズを確認した上で、バナーのコンテンツの企画に移ります。
広告バナーの企画段階では「誰に」「何を伝えるか」という”指針”を考えていきます。
最終的には、この2つの”指針”をもとに、競合を分析し、ビジュアルとして何の画像を使用するか?キャッチコピーで何を訴えかけるか?といった具体的なパーツに落として制作していきます。
具体的には、以下のような手順を踏みます。
1.広告バナー制作の指針をつくる
2.指針をもとに競合バナーを分析し、差別ポイント・類似ポイントをあぶり出す
3.競合バナーの要素を分解し、必要なパーツに落とす
4.パーツを組み合わせ、バナーを完成させる
上記は、あくまでも1つの手順例ですが、クリエイティブ制作がネックになって広告による集客にチャレンジできていないという方には、非常におすすめです。
各手順の詳細を解説していきます。
1.広告バナー制作の指針をつくる
指針とは、バナーを分析したり、具体的なパーツに落として制作する段階において、細部を決定していくためのルール的役割を果たします。
具体的には、誰に(ターゲット)何を伝えたいか(メッセージ)の2つの項目を指します。
すでにインスタグラムの広告集客における、バナーの役割や制作した後の改善プロセスまで決まっている方は読み飛ばしていただいて問題ありません。
これから決定していく方は、以下のように進めてみましょう。
■誰に(ターゲット)
バナーを通して「誰に」訴えかけていきたいかということは、商品・サービスのターゲットによってある程度方向づけられます。
例えば、ヒゲの永久脱毛サービスの広告を制作する場合、髭が濃くて毎日剃るのが面倒だと感じている男性がターゲットとなることはなんとなくイメージがつきます。
しかし、髭を剃るのが面倒で、とにかく一剃りで髭が剃れることの時短メリットを求めるユーザーの場合であれば、定期的に店舗に通って永久脱毛をする手間すら省きたい可能性が高く、電気シェーバーなど高性能な髭剃り機器の広告の方がマッチします。
一方で、髭を毎日剃るのが面倒という同じ悩みでも、面倒なポイントが異なる場合があります。
肌に何度もカミソリをあてることで、カミソリ負けや乾燥による肌ダメージを気にして、シェービング剤を色々と試したり、入念なスキンケアに時間をかけるのが面倒という場合です。
そうしたユーザーには、髭自体を薄くすることができて、毎朝の髭剃りが不要になる永久脱毛サービスがマッチしやすいでしょう。
上記の場合、最終的に広告を通してサービスを利用してほしいユーザーは、髭が濃くて毎日剃ることとそれによる肌ダメージが悩みで、そこに対する入念なケアにまで取り組んでいる、美容意識の高い男性ということができます。
つまり、商品・サービスのターゲットの中でも、広告を通してよりリーチしたいターゲットや広告を通して効率的に集客できそうな見込み客という観点で、ターゲット設定をすることが重要です。
具体的には、商品・サービスを”使っていそうな”ユーザーではなく、”広告で必要性を伝えることで使うポテンシャルが高い”ユーザーをターゲットとして設定していきましょう。
もし、そうしたユーザーを決めきれないという場合、すでに利用ユーザーのついている商品・サービスであれば、インスタグラム上のハッシュタグがついた口コミを参考にしてみましょう。
もちろん、口コミに全てが記載されているケースはほとんどありませんが、利用ユーザーが言葉にして評価している部分は、他のユーザーにとっても評価に値する魅力ポイントとなる可能性が高いと言えます。
どこに価値を感じているかというゴールを起点に、その価値を感じやすいユーザーはどのようなターゲットかという順番で考え進めてみましょう。
■何を伝えたいか(メッセージ)
バナーを通して、ターゲットに「何を」一番強く伝えていきたいかということは、商品・サービズの特徴や競合品との差別ポイントからある程度導き出されます。
先のヒゲの永久脱毛サービスの例で考えてみましょう。
競合サービスとの違いは、アフターフォローが手厚いという点だったとしましょう。
店舗での永久脱毛の施術だけではなく、施術後1週間は専任の担当者によるメールでのヒアリングや肌をケアする方法の伝授、さらには肌トラブルになった場合の対応まで完備という内容です。
その場合、もちろん脱毛効果や金額という点ではどこのサービスも共通している中で、万が一のトラブルにもアフターフォロー付きというサービスレベルは、どの競合も訴求していない以上、はじめて利用する顧客にとって比較検討の新たな材料であり、魅力的な特典となります。
しかも、前段でターゲットとして設定したユーザーの場合、自分のお肌を大切にしたい意識が強い場合なら、なおさら髭脱毛による効果と、その副作用を天秤にかける可能性が高いです。
結果、ただ脱毛効果が高いだけでは納得しないユーザーを取り込むことができます。
以上のように、ターゲット設定と、製品ならではの差別ポイントを行ったり来たりしながら、”利用するポテンシャルが高い”ユーザーに対して、最も強調すべきポイントを編み出していくことで、より集客効率アップが期待できるメッセージを編み出すことができます。
2.指針をもとに競合バナーを分析し、差別ポイント・類似ポイントをあぶり出す
次に、設定した指針をもとに、競合となる商品・サービスのバナーを分析します。
ご自身でインスタグラムを利用するなかで、競合の広告を目にすることもあるかと思いますが、いちいちスクリーンショットをするのは面倒だったり、網羅しきれないケースが多々あります。
その際にぜひ利用していただきたいのが、Facebook広告ライブラリです。
表示されたことがあるか否かにかかわらず、Facebook・Instagramや連携しているプラットフォームで掲載されている広告を、リアルタイムで把握することができます。
しかも、Facebookアカウントを持っているかにかかわらず、無料で利用することができます。
設定した指針をもとに、競合となる商品・サービスの名前を入力し、どのようなバナーを配信しているか分析してみましょう。
特に重要なのは、競合が訴求している”メッセージ”です。
具体的には、キャッチコピーで何を一番押し出し、ビジュアルで何を印象づけようとしているかというポイントを考察していきます。
ターゲットが共通しそうという軸で4~5アカウントほど選定し、広告バナーのキャッチコピーとビジュアルを一覧化します。できれば、定点観測していただくことをおすすめします。
継続的に配信しているバナーは、集客効率がよく配信を継続している可能性があるためです。
一覧化した時点で、複数の競合が利用している訴求があれば、それはある程度効果が見込める訴求というあたりをつけることができます。
逆に、競合が訴求していないが、自社の商品・サービスであれば訴求できるポイントがないかという観点でも分析してみると、競合にはない魅力的な訴求を見つけることができます。
以上のように、広告バナーの訴求軸のヒントを分析してみましょう。
3.競合バナーの要素を分解し、必要なパーツに落とす
前段の分析であたりをつけた訴求軸を、具体的なパーツに落としていきます。
バナーのなかで訴求できる内容は非常に限られています。
すべてをバナーで伝えようとせず、まずはリンク先のページに遷移したくなる入り口を提供する意識で、必要最低限の要素に削ぎ落としましょう。
2で分析した、キャッチコピーとビジュアルの組み合わせや、パターン違いを洗い出し、配信の優先順位をつけていきます。
広告バナーの効果は、配信して初めて検証できるため、ある程度あたり確率の高そうなものや、伝えたいメッセージを上位におき、予算に応じたパターンにしぼっておきましょう。
4.パーツを組み合わせ、バナーを完成させる
配信する優先順位を高く設定したパターンを、実際に形に落としていきます。
ここはデザイナーのスキルが必要な部分にはなりますが、外部に委託している予算がない場合や、自社内にデザイナーのリソースが確保できず、やむをえずご自身で制作されるケースもあるかと思います。
その場合には、スマートフォンさえあれば簡単に編集できるツールもいくつか存在するため、実際に手を動かしてみることをお勧めします。
4.【応用編】広告関連度診断を活用しよう
実際に完成した広告を配信すると、広告関連度診断で、Facebook社の広告品質評価を確認することができます。
もし、想定していた目標よりも広告効率が悪かった場合に、広告関連度診断で改善すべきポイントを確認することもできるため、是非積極的に活用していきましょう。
5.まとめ
インスタグラム広告において、集客効率の高い広告バナーを制作するためには、広告を通して利用してもらえるポテンシャルの高いターゲットを設定し、競合品よりも優れたポイントをメッセージとして発信することが重要です。
基本的な企画の方法を理解し、実際に広告配信することで、企画の精度をあげていくことができるため、ぜひデザイナーに丸投げではなく、ご自身のスキルアップのためにも、この記事でご紹介した一連の流れを試していただくことをおすすめします。